認定補聴器技能者平岡三奈さん（2009年取得）認定補聴器技能者インタビュー日本補聴器技能者協会

「夢」だった認定補聴器技能者の資格を取得

私の両親が補聴器の仕事に従事しており、幼い頃に両親が働くお店に行った際、補聴器を付けられて笑顔でお店を後にされるお客様を見た時から認定補聴器技能者になる事は私の夢でした。
実際に初めてテキストを見た時には、理解しておかなければならない事の多さに驚きましたが、どれも補聴器を販売する上でとても重要な事ばかりでした。
認定補聴器技能者になる為の講習会では受講者が200人くらいと多くて、同じ目標を持った仲間がこんなに沢山いるという事が、大変嬉しく思いました。その中で友人もできて、お互い切磋琢磨しながら、認定補聴器技能者をめざしました。
セミナーの回を重ねる毎に仲間も増え、同じ認定補聴器技能者同士の繋がりができた事も私の中ではすごく大きな財産になりました。

お客様に心を開いていただくために心がけていること

補聴器のご相談に来られるお客様は、ただ聞こえにご不自由を感じておられるのではなく、難聴が原因で人とのコミュニケーションや、お客様自身の生活や趣味を楽しむ事が難しくなられている場合があります。
お客様がどういう場面でご不自由を感じておられるか、また、どんな時に補聴器がお役に立てたら良いか、お話を伺うのですが、やはり、思い出したくないエピソードや、楽しいお話ばかりではないので、そういったお話は何度もお尋ねしないように、担当させていただいたお客様は必ず覚えるようにしています。
補聴器の機種選択や調整を行う上でお客様からいただく情報はとても大切ですから、お客様に心を開いていただくために、いつもお客様の立場に立って物事を考えようと心がけています。

真剣な表情でお客様に説明をする平岡さん

お客様の喜びを目の前で実感して感激

耳鼻咽喉科医院からの御紹介で、あるお客様が来店されました。私たちの店では、新規のお客様には試聴をしていただきます。試聴期間中、そのお客様は御来店されるたびに表情が明るく変わり、笑顔が表れ、会話も弾み、冗談まで話されるようになられた事がありました。
奥様が、「家から一歩も外出しなかった主人が、一人でゴミ出しに行って、なかなか帰って来なくて心配していたら、近所の方と楽しそうに会話していたのよ」というお話をご本人様と一緒に楽しく聞かせていただいた事は私の中で強く印象に残っています。
最近も、奥様が入院されて、「洗濯・掃除・自炊と大変だったけど、付き添って看病ができたのも、補聴器があればこそ」と感謝のお言葉をいただき、励みになっています。

資格を取得してからが本当のスタートライン

補聴器も新しい機能や性能の物が次々に発売されますし、つねに新しい知識や情報を持っておかないと、お客様に最適な補聴器を販売することができないと思い、認定補聴器技能者の資格を取得してからも新しい知識や情報を集め、これからも補聴器と共に自分自身を進化していけたらと思います。
「認定補聴器技能者」とは、補聴器の仕事に携わる上で最低限身につけておかなければいけない知識であり、資格だと思います。資格を取得したら終わりではなく、お客様に適正な補聴器供給ができるスタートラインだと思い、これからも日々精進していきます。

使い方の説明は、実際に使いながらていねいに

お客様の笑顔が私を動かす原動力

この仕事を選んでよかったと思うのは、お客様と一緒に聞こえる喜びを共有できる事です。「何年も聞いていなかった虫の声が聞こえた」「時計の秒針の音が聞こえた」「大切な人との会話が増えた」などなど、何げない事かもしれませんが、それが当たり前に幸せだと思える事、そのお客様の笑顔の一つ一つが私の原動力になります。
聞こえに不自由を感じておられる方に対して、認定補聴器技能者の数が足りないのが現状です。自分が考え、悩み、試行錯誤した事で、お客様の聞こえのお悩みが少しでも改善され、またそれが自分の力になります。
「聞こえる事は人生を変える」と言われるほど「聞こえ」は人生の中で大変重要です。
資格取得をめざしているあなた、お客様の笑顔を一つでも多く増やせるように、一緒に頑張りましょう。

おわりに

「認定補聴器技能者」の役割、大切さを実感していただけましたでしょうか。幅広い知識や秀でた技能だけでなく、認定補聴器技能者になるための「5年間」の頑張りを支えた思いや理念はきっと、みなさまの補聴器ライフに大きな安心感をもたらすことでしょう。